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苑咲 早良
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ミツバさんへの愛が飽和状態になったので作ったブログです。
不定期更新なのでご了承ください。
パラレルで基本土ミツ、沖ミツ(正しくは総ミツ)ときどき土沖の予定です。
本館と呼ぶのがふさわしいのかわからないブログ→mahorobanoyuugi.blog.shinobi.jp(リンクを張れていないので↓のリンクからいったほうが楽です。)
綺麗、そう呟いた声を耳が拾って隣を見遣る。ミツバは、薄紅色の日傘を差して柔らかい眼差しで空を見つめている。綺麗、それは桜を指して言ったのだろう。けれどそれよりも、ミツバの方が綺麗だ。言ったら総悟みたく馬鹿にされはしないが、気恥ずかしくなるのは当然のことなので口の中でもごもごと飲み込む。
折角の休みなんだからデートでもしてきなせェと家を追い出されて、携帯や財布などの貴重品だけを持ってやってきたのは近所の公園だ。
広くはないが遊具はそれなりにある。けれど、今日は子どもが一人もいない。ご都合主義、なんて言葉が浮かぶがそれで片付けたら味気ない。丁度桜の真下にあるベンチに腰かける。向かいにも桜の木が植えてあり、桜を満喫するにはちょうどいい。
「昔はよく、遊びに来てたのにいつのまにか来なくなっていたわ」
「・・・そういや、そうだな」
高校に入ってからは確実に来ていなくて、約五年ぶりに来たことになる。ほぼ毎日と言ってもいいほど、前を通過してはいるけれど。
こうやって、気付かない内に何かを失って、その代わりに何かを得ているのだ。たとえば。
そっとミツバの指先を包む。
「最後に鬼ごっこをしたのはいつかしら」
「中学のときに、四人でやったのがそうじゃねぇか?」
「あぁ、きっとそうね」
外でにぎやかに遊ぶことが無くなった代わりに、こうして大切なものを守れるようになった。
人間が最初に失うのは泣くことだと言う。産まれた時は話す代わりに泣いて意思を伝えていたのが、言葉を覚え何かを伝えるために泣くことを失ったのだ。
「私が、風邪で寝込んでいた時」
「ん?」
「お見舞いにって十四郎さんは桜の枝を折ってきてくれたの。覚えてる?」
「小学校・・・二三年だよな」
「そうそう。・・・とても、嬉しかったの。真っ赤な顔で渡してくれて」
そんな細かいことまでしっかり覚えているのかと恥ずかしくなる。
初めて、ミツバにあげたものがその桜だった。この公園の木の枝を、目立たないところを選んで折って持っていった。とても緊張したのを覚えている。
ふと、思い立ったようにミツバが立ち上がった。
「そうちゃんに、持って帰りましょ! きっと喜ぶわ」
「・・・アイツは花より団子って気がするけどな」
「じゃあ、両方にしましょ。下の通りの甘味処、桜饅頭が評判なの」
「んじゃあ、そうするか」
手に入れた大事なものに、ミツバだけではなく総悟も含まれているのだろうか。
手に入りそうで入らない、そんな絶妙な位置にいる気がするが、俺とミツバの中心にアイツがいるのは確かで。勿論、俺の中心にはミツバがいるしミツバも同じように俺を思ってくれているはずだ。断言できるほど俺は図太くない。
「ほら、十四郎さん早くっ!」
「分かってんよ」
急かすときの仕草や表情が全く一緒だ。可愛いなぁ、呟いたら聞こえてしまったのか、恥ずかしげな一瞥を寄越される。
だから、そういうのが可愛いのに。
然り気無く手を握って、横を見遣れば幸せそうに微笑んでいた。
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おひさです!
近所の公園の桜があまりにも綺麗なので桜ネタにしました。
土ミツ率が何気に低いと気付いたのでデートさせましたがこのうぶさが土ミツの醍醐味ですと信じてます!
いつまでキスの記録は伸びないんでしょうかねww
あと、拍手ありがとうございす!
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