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苑咲 早良
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ミツバさんへの愛が飽和状態になったので作ったブログです。
不定期更新なのでご了承ください。
パラレルで基本土ミツ、沖ミツ(正しくは総ミツ)ときどき土沖の予定です。
本館と呼ぶのがふさわしいのかわからないブログ→mahorobanoyuugi.blog.shinobi.jp(リンクを張れていないので↓のリンクからいったほうが楽です。)
それは、綺麗なんて言葉だけじゃ言い表せない。だって姉上は元から綺麗なんだから。飾りをつけて、髪をいつもより丁寧に纏めて。そんなふうにした今日はいつもよりずっと、綺麗だった。
姉上と土方さんが卒業してしまった。四月から俺が通う、この高校を。
俺のほうが卒業式が早かったから、平日だけど来ることができた。例え学校があろうと、学校をサボって出席する気満々だったけれど。保護者席の通路側端を陣取って、入退場する姿を見たけれど、姉上が断トツで可愛かった。そりゃあ、自慢の姉上だから。若干シスコンなのは認める。
「総悟君」
「あ、せんせ」
ぶらぶらと、卒業式後の賑わう中庭を歩いていたら見知った銀髪くるくるパーマに出会った。姉上たちの担任だった、とまで考えて今はホームルーム中じゃないのかと頭を傾げる。
「ホームルームは?」
「終わらした。・・・ねぇちゃんたち来るまでだべるか」
「そうしやすか」
土方さんなんか、ボタン攻めになるんだろうなと想像してニヤニヤしてしまう。土方さんの困った顔は大好きだ。
ベンチに座ってうだうだと。周りで泣いたり写真撮ったりするのを眺めながら話していたら大きな声で名前を呼ばれた。
「総悟!」
「土方さん」
「ひっでぇ面。鬼みたいだねー」
「そんなに怖くねぇですぜ」
ズンズン歩いてきたと思えば、土方さんはぐいっと俺の腕を取って立たせた。元からってのもあるが髪がボサボサだ。辟易したんだろなと思うと口角が上がる。
遅れて、姉上が小走りで寄ってきた。胸元のピンクの花がよく似合う。母上の形見の髪飾りも、とても。
「そうちゃん」
「姉上、おめでとうございます」
「ありがと」
「おい、俺には」
「土方さん、赤い花差してるとホストみてぇ」
「んだと!」
なんてのは嘘で、女子で一番可愛かったのは姉上で、男子で一番は土方さんだった。近藤さんはかっこよかった。男泣きしてる様が愛しくて。
「あー。ねーちゃん来なくなっても総悟君が来るもんね。多串君も来なくなるし」
「そうちゃんをお願いしますね」
「勿論」
にこにこ、俺の肩を掴んで笑う先生に土方さんが物凄く、刺さりそうなほどに刺々しい視線を送る。それを見て姉上はくすり、笑う。
本当は。できることなら姉上と一緒に入学して卒業したかった。無理なのは重々承知だけれども。
寂しいな、小さく呟くと唯一拾った先生が、ポンポンと俺の頭を撫でてくれた。
多分きっと、もうちょっとしたら姉上と土方さんはくっつくだろう。そうしたら邪魔者になってしまう。姉上だってとられてしまう。
追い付けたらいいのに。一緒に、肩を並べられるように。
「記念に写真撮ってやろうか」
「あっ、そうね。先生お願いします」
「あいよ、ほらほら並べ多串」
「多串じゃねぇよ!」
やりとりに、姉上がまた笑う。姉上が楽しかったなら。この学校はいい学校なんだろうなと漠然と思った。
俺の腕を抱く姉上と、その隣に立つ土方さん。
「はい、ちーず」
パシャリ。
眩しい笑顔の姉上と、優しい笑顔を浮かべた土方さんと、はにかんだ顔した俺と。三人で撮った写真は玄関に置いてある。
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お久しぶりです。
3月11日に地震がありましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私はちょうどあの日卒業式でした。関東の西のほうだったので被害は殆んどなかったのですが・・・。
被災者の方々が一刻も早く、日常に戻れますように。
二年半目、生存報告でした。
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