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苑咲 早良
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ミツバさんへの愛が飽和状態になったので作ったブログです。 不定期更新なのでご了承ください。 パラレルで基本土ミツ、沖ミツ(正しくは総ミツ)ときどき土沖の予定です。 本館と呼ぶのがふさわしいのかわからないブログ→mahorobanoyuugi.blog.shinobi.jp(リンクを張れていないので↓のリンクからいったほうが楽です。)


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何年間一緒だったのだろう、と改めて考えてみると、年の数だけなのだと気付いた。生まれた頃の記憶はないけれど、それでも傍に居たのだと思うと覚えていないのが勿体無く感じる。
全部を残しておきたい。一緒に居る記憶を。
今日は俺の方が講義が一つ少なく、昼時より閑散としているカフェテリアでコーヒーを飲みながら、ミツバがやって来るのを待っている。保育園に小学校、中学に高校と大学。その全てが同じで、毎日と言っても過言ではないくらい顔を合わせて、言葉を交わしていたし、今もそれは変わらない。
離れるだなんて考えられないぐらい、愛しい。

「十四郎さんっ」

「・・・走んないでいいのによ」

パタパタと小走りで此方へやって来るミツバに苦笑しながら立ち上がる。生まれつき体が弱いから、無理はするなといつも言っているのに。
ふぅ、と息をついたミツバは肩にかけていた鞄をかけなおすと、待たせてごめんなさいね、と申し訳なさそうに言った。

「勝手に待ってんだから、気にすんなよ」

「十四郎さんがそうやって甘やかすから、私が我が儘になっちゃうの」

怒ったように頬を膨れさせて言うけれど、ミツバのどこが我が儘なのだろうか。こいつを知っているやつ全員が、もっと我が儘になったっていいのにと思っているのも知らず。ミツバが我が儘ならば総悟は我が儘の域を達するだろう、というか全人類が我が儘だということになるのに。
駅への道程を行く。マフラーにコートと防寒はしっかりしているがそれでも外気に晒している手指や耳は冷たく。
何気なく、手を動かして甲をミツバの手に触れさせる。女性は冷え性が多いというが彼女もそうなのだろうか、指先はとても冷たい。

「温かいわね、十四郎さんの手」

「そうでもねぇよ」

言いながらやんわりと繋ぐとくすり、ミツバは微笑んだ。
二十歳になったし大学へ通いながらでもできる仕事も見つけた。だから今日こそ言おうと身構えて二日目。昨日は仕方ない、総悟もいたしタイミングが合わなかった。
だから今日こそは。
天もそんな俺の背を押してくれているかのように乗り込んだ車両はがらんとしていて、俺とミツバ、そして遠くで心地好さげに眠っている老人一人だけだった。

「そうちゃんがね、うちの大学を受けたいって」

「アイツが? なんでまた」

「十四郎さんと同じ、警察官になりたいんだって」

「はぁ? ・・・想像できねぇ」

「そうかしら」

ただでさえここはそれなりに知名度のある大学だというのに、その上法学部なんてアイツには無理なんじゃないかと一瞬思ったが、総悟はやればできるやつだと言うことを知っていて。無理じゃないかと言われていた高校に受かってその中でも悪くない成績を維持しているのだから、できるような気もしてくる。
だから俺も頑張らなきゃと、思う。

「あのさ、」

「なぁに?」

「結婚、しないか?」

「・・・」

ぱちくりと、ミツバが驚いた顔で俺を見る。そりゃあまぁ驚くわなぁと、夕陽に反射して目映く縁取る長い睫毛を眺める。化粧をしなくても十分に綺麗で、それは心が写し出されているからなんじゃと思うほどに、醜いところがない。だからってもし醜いところがあっても幻滅などしないし、そんなところも愛せると確信を持って言えるぐらい、愛している。
なんて恥ずかしすぎて口に出して言えないけれど。

「十四郎さんは本当に私でいいの?」

「おまえがいいんだ」

「・・・でも、」

「俺はおまえのことも総悟のことも、同じくらい大事に思ってるから」

「そうよね。十四郎さんはそういう人だものね。・・・私も―――十四郎さんの傍に、いたい」

恥ずかしげに首を傾げて、真っ直ぐとそう言ったミツバに感情が溢れだした。
嬉しくて、愛しくて、もうどうしようもなくて。
ゆっくりとその柔い唇に、唇を重ねた。
じんわりと幸せな気持ちが身体中に波紋のように満ちていくのを感じて泣きそうになる。

「帰ったらそうちゃんに報告しなくちゃ」

「だな。・・・ますます嫌われそうだ」

「大丈夫よ。そうちゃんは十四郎さんのこと大好きだから」

いつもと同じ微笑みがより眩しくて、それはないと否定することも忘れてしまった。





--------------

如何でしたでしょうか(^^;
あおい様リクエストの「土方さんとミツバさんの初めてのチュー」です。
土方氏はプロポーズまでしちゃってというか電車の中ですからね。私は同じ車両で寝ている老人になりたい←
実は老人は聞き耳たてていたという設定がありますが本編には関係ないですね。

この話書いていて、ちょっと泣きそうになりました。だって二人をくっつけることができたんだもの。愛のキューピッドですよ?ww

試験が本日終わったのでもう一個の方も近日中には書いてupしたいです。

リクエストありがとうございました(≧▽≦)

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