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苑咲 早良
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ミツバさんへの愛が飽和状態になったので作ったブログです。
不定期更新なのでご了承ください。
パラレルで基本土ミツ、沖ミツ(正しくは総ミツ)ときどき土沖の予定です。
本館と呼ぶのがふさわしいのかわからないブログ→mahorobanoyuugi.blog.shinobi.jp(リンクを張れていないので↓のリンクからいったほうが楽です。)
車窓に寄りかかり、物憂げに外を眺める総悟の横顔が視界に入った。森森と静まった町を走る車もいまは信号で停まっている。
たまに、こんな風になることがある。ミツバがいないときに、潤滑油がなくなったかのように空気がぎこちなく、よそよそしくなる。折角へそくりで外食させてやったというのに。まぁ、話しかければいつも通りだからそこまで大したことはないのだけれど。
「・・・俺、制服のまま出掛けんの嫌いなんでさァ」
「だったら誘ったとき帰るっつえばよかったろ」
「いや、土方さんがへそくり使うっつったから」
ミツバが友達と旅行に行っても平気かしら、と訊ねたのは先週のことで、それを聞いた俺らはそれはもう、大層驚いた。ミツバが旅行行くのなんて学校の行事と俺たちとしかなくて、しかも一緒に行く相手が近藤さんの想っている志村でまたまた驚かされた。仲良さそうにしていたけれどそんなに仲良かったのか。止めるなんてもっての他で、どうぞどうぞ、と首肯するしかできなかった。
だから仕事帰りにそのまま高校へ寄って、飯食いに行こうと言ったら大人しく総悟は従って助手席に乗り込んだ。
制服姿なんて見慣れている。殆ど毎朝、見ているし自分も昔は着ていたから。それなのに、こうして学校や家の外で見ると雰囲気が変わって見えるのは何故なのだろうか。
カーラジオから流れる歌は仄かに暗く、全ての条件が空気を暗くしようとしているのは分かった。こういうときは早く帰って寝るに限る。どうせ明日はいつも通りなのだから。
「寄りたいところはねぇな?」
ウインカーを左に出しつつ問う。
「・・・海」
「は?」
予想外の返答にハンドルをきらずそのまま直進。少し行ったところで車を停め助手席に座る総悟を見ると、ぱちくりと瞬きをしながら此方を見ていた。
束の間の静寂。
「・・・冗談なんですけど」
「あのな、いまのはねぇだろ」
「真に受ける方が悪いんでさ」
「・・・」
ふいと、再び外へ向く視線。
少し思案した結果、Uターンせず海へ向かうことにした。この時間なら直ぐに行けるだろうし、たまにはいいだろうと。
物言いたげな視線を頬に感じながらも予想通りに人気のない道を進んでいく。総悟と遠出するのは落語を聞きに行ったとき以来だと思い出した。あのときは波長があっていたからよかったけれど。
「・・・おまえさ、なんか言いたいことがあるんじゃねぇの?」
「それを素直に言うと思いやすか?」
「思わねぇ、けど」
星の瞬く窓の外を眺め、総悟は目的地に着くまで口を閉ざしたままだった。
道路脇に車を寄せて停める。道路とはいえど車の通りなどなくて、両脇に疎らに車が停められている。
着いたぞ、と声をかけて車外へ出ると黙って総悟も後に続く。そのまま歩道を横切り砂の上を行くともう海で、月光を浴び波が揺らいでいた。
「綺麗・・・」
ポツリと零れるように呟く様子も言葉までも、まんまミツバと同じ反応で、堪らなく愛しくなった。
昔から好きだった、ミツバと同じぐらい。そもそも、二人を離して考えたことなどなかった。それを、総悟は知らない。
ミツバに似ているからだとか綺麗だからといった単純な理由じゃなく、想っていた。二人を同じように、けれど違う存在として。
「姉上を連れてきたんですかィ?」
「ああ、秋にな」
「・・・ねぇ土方さん」
寄せては返す波間へ歩み寄り、総悟はしゃがみこんだ。星空に白く浮かび上がった指先を冷たい水に浸けて、徒に水をかき回している。
華奢な背中を見るといつも、守ってやらなきゃと思う。それをコイツが望んでいないのは分かりきったことだが、それでも。我が儘ばかり言って無理難題ばかりおしつけるくせに、ミツバに対しては天使のようにあって、たまに繊細な面を覗かす。
そんな、こいつが。
「俺、大学入ったら絶対、家出まさァ」
「・・・は?」
「それまでは、邪魔しちまうかもしれねぇけど」
「何言ってんだ? おまえ・・・」
意味が分からず首を傾げる。そんな俺を振り返って、総悟はいつもとは異なる表情を浮かべた。
悲しそうな、いまにも泣き出しそうな、弱々しい表情。
見ない振りはもうできないのかもしれない。総悟が、気付かないことを望んでいたからそう振る舞っていたけれど。
「だって、邪魔だろィ?」
「んなわけねぇだろ。俺やミツバが、そんなこと思うはずねぇの、知ってんだろ」
「分かってまさァ。でも、アンタら、優しいから・・・」
「バカだろ」
「五月蝿い」
イラッ、としたまま言うと総悟も腹立ったようで、眉を寄せて言い返した。
邪魔だなんて思うはずがない。傍にいてほしい存在なのに、邪険に思うだなんて。
一歩ずつゆっくりと砂を踏み締め、波間に佇む総悟の両頬を摘まみ思いっきり引っ張る。間の抜けた顔で「いふぁい」と言ってどうにか手を離させようともがく総悟が愛しい分、離れると言ったことに生まれた苛立ち。
頭に来たまま頬から手を離すと強く、引き寄せた。
「なっ・・・」
「被害妄想だっつうの、早く分かれよ」
「でも、俺の所為で滅多に家じゃイチャつけないんですぜ?」
「別に、イチャつきたいとか思ってねぇし。そういうときは大学でそうするから気にすんなよ」
「うっわ、最低だ」
抵抗することなく胸元に頬を擦り寄せ、総悟はぎゅうっと俺のコートを握った。冷えた背を撫で擦り、暫くは顔をあげてくれなさそうなので上を見上げると、白い息が瞬く星にかかった。冬の方が星が綺麗に見えるというのは本当で、だからその下に項垂れる総悟の薄い肩が小刻みに震えているのも、視界に映ってしまった。
これは見ない振りをしてやろう。
「・・・本当に、邪魔じゃねぇの?」
「そういってるだろ」
「俺、アンタの傍にいてもいいの・・・?」
涙に震えた、常より高めの声が俺に問いかける。鼻の下が伸びてしまいそうな、漸く聞けた本心に笑みを浮かべながら頭を優しく撫で傍にいてほしいと囁く。すると、少しだけ総悟は顔を上げた。
涙が煌めく大きめな瞳、紅潮した頬を流れる滴。あまりにも儚くて息を飲んだ。
「・・・アンタの前で泣くとは一生の不覚でィ」
「この状況でそれ言うか」
相も変わらぬ減らず口に溜め息まじりに返す。こんなところも総悟らしさではあるが、流石に今はロマンティックな言動をしてほしい。
すると、涙を拭っていた総悟は唇を尖らせた。
「・・・勘違いしねぇでくだせぇよ? 俺はアンタなんか好きじゃないんだから」
「俺は好きだけどな」
「はっ!?」
じわじわと首まで真っ赤にさせた総悟がわなわな肩を震わせる。
照れ隠しの暴言が飛んでくるまであと三秒。
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いぇーい土沖くっついたー←
いかがでしたでしょうか。
あおい様リクエストの「総悟と土方をくっつける」です。
一応これ未来の話なのですが、まだ総悟が高校生だから現設定から一年未満ですよね。ま、うん。しくじりました・・・(((・・;)
でも本当にくっつけたかったので神のお告げのようなリクエストでした♪
因みに書けたらいいなと思っていますがこの後総悟は徹底的に土方から唇を守ります。「姉上と一回しかしてないんだから」というノリで。多分土ミツが10回キスしたら漸く土沖で1回キスできるのりです←どんなだ
長らくお待たせいたして申し訳ありません(;´д`)
ありがとうございました(`・ω・´)
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