忍者ブログ
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
苑咲 早良
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
♥ Admin ♥ Write ♥ Res ♥ 
ミツバさんへの愛が飽和状態になったので作ったブログです。 不定期更新なのでご了承ください。 パラレルで基本土ミツ、沖ミツ(正しくは総ミツ)ときどき土沖の予定です。 本館と呼ぶのがふさわしいのかわからないブログ→mahorobanoyuugi.blog.shinobi.jp(リンクを張れていないので↓のリンクからいったほうが楽です。)


 43 |  42 |  41 |  40 |  39 |  38 |  37 |  36 |  35 |  34 |  33 |
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。






近藤さんから借りた車を駐車場に止め、目当ての建物へとミツバと並んで歩く。
無邪気に楽しむミツバは、この旅行の真意を知っているのだろうか、ふとそんなことを思ったが、きっと知らないに違いない。
家に一人でいるだろう、総悟を思い青く澄んだ秋の空を見上げた。





事の発端は総悟だった。日光行きてェ、急にそう言い出したのだ。それにミツバも便乗して、行きたいと、二人で盛り上がるのを横目にどうしたものかと考えた。
二人が行きたいと言うのなら、連れていってやりたい。喜ぶ姿が見られるのなら、何だってしてやりたいと思う。だから。
日帰り旅行、という形でならそこまで予算の心配もないからいいのではということになった。いろは坂を通り日光東照宮へ行き、昼を食べ、華厳滝を見る。小学校の修学旅行でも行ったが、見に行ったことのあるところの方が日帰りならば楽だろうということで。
そう計画している内から、総悟も考えていたのだろうと思う。補習が入った、と言ったのは昨日の夕方だった。残念そうではあったけれど、直ぐに、最初からこうする気だったのだと合点した。あんなに楽しそうにしていたのに、そこまで拗ねていなかったし、それに。ちゃんと姉上をエスコートしなせェよ、と言った顔が照れ臭そうで。
気を使わせたらしい。
新婚旅行も未だだったから、総悟はどうにか俺達が二人で旅行に行けるようにしたのだ。

「人、多いわね」

「今日から三連休だしな。此方側なら人少ねぇから」

冊子を手に敷地内に入る。修学旅行でのガイドの説明を何とか思い出そうとしながら次々それを見ていく。有名なものでは厩の猿だ。八枚で一生を表しているものだそうで、一番有名な「見ざる言わざる聞かざる」は幼少期の教訓のようなものらしい。悪いものは見たり、言ったり聞いたりしないほうがいいだとかいうものだそうだが、実際には無理だろう。

「考えた人もすごいし、作った人も、そのまま残しておいていることもすごいわよね」

「それだけ権威があったってことだよな」

将軍家か、または家康公に。
ふと、隣に立つ彼女は、地で「見ざる言わざる聞かざる」をしていそうだと思った。悪いものを寄せつかせないような、そんな雰囲気が昔からはある。尻尾を巻いて、退散してしまいそうだ。
想像の象だとか、眠り猫だとか。動物が多いことに理由があるのか悩みながらも陽明門を見上げる。観光客が絶えず写真を撮っていて、便乗する形で見知らぬ人に写真を撮ってもらった。

「逆さまの柱って向こう側よね」

「確かそうだったな」

さっきから楽しげにカメラを構えているのは、留守番をしている総悟に濃密な土産話をするためだろう。こんなにも互いを想い合う姉弟なんて滅多にいないなと微笑みながら、近くから見ても遠くから見ても荘厳なそれを潜り、奥へと入っていく。
山の中だからか、空気が澄んでいて涼しい。上着を羽織っていれば、ミツバは慣れぬ手付きで門の写真を撮って満足げな表情を浮かべていた。

「奥まで行くか?」

「行ってみましょ!」

「修学旅行じゃ猫見てしまいだったからな」

はしゃいで俺の手を引いて階段を上っていく。ミツバの向こうに続く階段に終わりは見えなくて、若干うんざりする。終わりのない階段は中々辛いものだ。それでも、下りてくる幸福そうな老夫婦や、興奮した外国人、そして瞳をきらきらさせるミツバを見ていると此処は本当にすごいところなのではないかと思う。

「少し暑くなってきたな」

「こんなに登ったんだもの。・・・ほら、あと少しよ」

振り返ってみたら、霧がかっているように下の方が霞んでいる。こんな風に、気付いたらもううん十年傍にいた、みたいなことになっていたらなんて思うのは年寄り臭いだろうか。
辿り着いた、最深部の霊廟はより空気が冷たく感じた。ただ単に山の奥に来たからという理由かもしれないが。

「此処に眠っているのかしら?」

「多分な。・・・大勢に墓参りに来られるのってどうなんだ?」

「寂しくないのは確かだけど」

なんて言うミツバの手は確りと俺の手を握っている。それに指を絡ませて、強く握り返す。優しい温もりにふと、息を漏らしたらミツバが嬉しそうに目許を染めた。





玄関を開けたらばたばたと忙しない足音が近づいてきて、階段からびっくりした顔の総悟が覗いた。その背後には何度か見掛けたことのある地味な顔が覗いた。

「ただいま、そうちゃん」

「お帰りなせェ。早い帰りですねィ」

「ふふ」

華厳滝には寄らずに帰ってきた、と言えば総悟はどんな反応をするのだろうか、なんて。
怒るに決まっているから秘密のまま。





--------------------


祝☆一周年!

もっとずっと前からそうでしたがあえて言おう。
ミツバさん愛してますっ!!!!!!
好きすぎて作ったこのサイトという名のブログも二歳になりました。皆さんのお陰です。亀の歩み以下で本当に申し訳ありませんが、ミツバさんへの愛は不変です、よ!

今回は3ヶ月間書きたかった旅行ネタを書きました。せっかくだから。本当はもっと三人でいちゃいちゃしてるやつがいいかなとか思いましたが今回はこれにてごめん!


本当にありがとうございます!

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Copyright(c)  愛妻家の人々  All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box   * Template by tsukika

忍者ブログ [PR]